『「TAXi」「トランスポーター」などカーアクションのヒット作を次々と送り出してきたL・ベッソンが、今度は世界一過酷な耐久レース、ル・マン24時間を題材に選んだ話題作。』(Wowowの解説より)と来れば、期待するものがありますよねぇ。季節柄、GT4でサルテサーキット(ルマンのコース)を走ってますから、よけい気になります。
最悪。
まず、ひどいのが出演者の演技。もう、全然ダメ。敵役の英語もなんかフランス訛りっぽくって、あれくらいだったらフランス語で統一してくれた方がまだまし。
次に、ストーリー。全くダメ。穴があるとか、矛盾があるとかじゃなくて、支離滅裂。しかも、悪役がとことんワルで主人公たちは馬鹿、という、見ていてイライラするパターンです。悪役のおねえたんは、現実にはあり得ない妨害工作(狙撃、色仕掛け、誘拐)で優勝をさらおうとします。
さらに、レースのシーンがダメ。一つ一つのショットは奇麗に撮れてます。でもね、レースの映画だったら、レースの流れにそって編集しなくっちゃ。コースの配置を無視した編集をするから、抜きつ抜かれつのバトルに見えない。サルテの見せ場のユノディエールが1回くらいしか出てこないって、どんな「ルマン映画」なんだよ。まったく。
あ、ストーリー上も抜きつ抜かれつという設定じゃなかった。レースの映画で、主人公の車は、悪役の車を追い越しません。自動車レースの映画として失格ですよ。
つまり、イニシャルDの豆腐屋が86でルマンに出たんだけど、ブラック魔王の妨害にあってさあ大変、っていうくらいくだらないお話だってこと。(これならこれで、それなりの楽しみ方が出来るだろうけど)
というわけで、レース映画の最高峰は「栄光のルマン」であることに変わりはありませんでした。
「栄光のルマン」の設定、主人公はフォード=アメリカ、敵役はフェラーリ=イタリア。そして、栄光をつかむのはアメリカ。フランス人としては面白くなかったんだろうなあ。
Michel Vaillant
(IMDb)