10数年前に、ジンバブエに行ったことがある。出張で南アフリカに行ったのだが、週末ちょっと足を伸ばして自然公園みたいなところに出かけたのだ。
その時の記念として保管している20ジンバブエドル札。
ご承知の通り、今ジンバブエは超絶なインフレである。この20ジンバブエドル札がどれくらい価値のないものなのかを考察してみる。
お札に印刷されている1994年当時、6.82ジンバブエドル(ZWD)=1USD。
よって、20 ZWD×1 USD ÷6.82 = 2.93ドル
つまり、このお札の価値は約300円だった。
その後2006年に新ZWD発行とともに、3桁のデノミがあった。このお札の価値が1000分の1になった訳だ。
この時点で、このお札の価値は0.3円となる。
さらに、今年の8月1日、デノミにより10桁の切り捨てがあった。
価値が100億分の1になった。
このお札を333億枚集めると1円と交換してもらえる、ということだ。
ジンバブエでは日々刻々インフレが進んでおり、8月1日時点で38だった闇レートは21日時点ですでに300近くになっている。
実質インフレ率(年率換算?)は、6億%ともいわれる。あと1年もすると8桁から9桁分価値がなくなるという事である。
さて、ここで2回のデノミと将来のインフレ率による切り下げ桁数を足してみみると、
3+10+9=22桁。
この、天文学的とまではいかないが、物理化学的桁数を、物理化学的に考えてみよう。
モルという単位を覚えているだろうか。
6.02×10の23乗個=1モルという単位で表す。化学の授業で出てきたものだ。
これは、「炭素原子が6.02×10の23乗個集まると、ちょうど12グラムである」ことから科学者がお便利に使っているもの。
単純計算すると、1グラムの炭素の集まりのなかには、炭素原子が5×10の22乗個あることになる。
1000円札が1グラムとして、それが全部炭素で出来ているとすると、炭素原子一つあたりの価値は、1000円÷(5×10の22乗)=200×10のー22乗円となる。
僕の持っている20ZWD札は、300円だった価値が22桁きりさげられるので、
300×10のー22乗円の価値。
結論:このお札の価値は、あと1年後には炭素原子2個分の価値にも満たないものとなる。